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2017年01月28日(土)

「見る・知る・書く」文章のレッスン

2017年1月20日に開催したワークショップ、「見る・知る・書く」文章のレッスン。5名の参加者の方が挑んだ文章と、講師・ハタノエリさんの講評をご紹介します。
(撮影:松本紀子)

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—-文章1
タイトル/田舎のよさも瓶につめて~手作りジャムときどき雑貨ミモハモの北爪さんにであって~

本文/
「柚子きび」ジャム。「ジャムを味わうためのパン」という感覚を私は初めて体験しました。「手作りジャムときどき雑貨ミモハモ」の北爪さんは自身で作製されたオーガニックヘンプコットンの手拭いを敷き、木のまな板の上で自家製のパンに「柚子きび」ジャムをのせて、わたしたちにふるまってくれました。柚子ときび砂糖のみで作られたこのジャムはなんとフレッシュ。しばらく柚子の心地よい風味の余韻を楽しめます。柚子の苦みを感じないこのジャムは、北爪さんが「おいしいジャムになれ」と丁寧に下準備をしたからこそ。もちろん柚子も無農薬にこだわった自家製の柚子です。皮と果汁はジャムに、果汁をしぼった実は柚子茶に、種は化粧水に余すことなく使い切ります。そこにも北爪さんの丁寧なしごとぶりと素材への愛情がわかります。

「田舎を大事に、山が宝見える」という北爪さんは田舎ぐらしにあこがれ岡山県に移住してこられました。「地域にあるものを使って何かしたい」と思いをめぐらせながら散歩をしている時、グミの実にであい、ジャムを思いついたといいます。実際作ったグミの実ジャムは甘酸っぱくて、山の自然を感じる力強さがあり、つまった味だったといいます。「田舎の良さを皆さんに知ってもらいたい、ジャムにすることでその季節にしか取れないものを少しだけ保存がきくようにして皆さんにおすそ分けしたい」そんな気持ちのこもったジャムは格別です。

今後はオーガニックヘンプコットンの手拭いなど、ジャムを楽しむ時に周りにあったらうれしいなと思う小物を手がけたいという北爪さん。「見るものすべてが新しく楽しい」と田舎ぐらしを全身で楽しみ、まっすぐ仕事をする、そんな北爪さんが作られたジャムがとてもかがやいてみえました。

—-文章2
タイトル/ジャム作りは宝さがしから

本文/
2015年の春に東京から岡山県美作市に移住してきた北爪佳恵さん。東京の印刷会社で企画やデザインの仕事をしていたが、なんとなくいなか暮らしにあこがれネットで検索していたところ、美作のシェアハウスにたどりつき、移住を決意。

地域のものを使って何かできないかと考えていたときに、食べる事のできる木の実がたくさんあることに気づいたそう。散歩の途中で、グミの実をみつけジャムにしてみようと思って作ってみたことがきっかけだそうで、収穫からジャムづくりがはじまる北爪さんにとって、豊富な自然の中を散歩することは宝さがしなのです。

今ではいちごや、ぶどうなど季節の実を使って15種類以上のジャムを作っています。今回試食させていただいたのは、「柚子マーマレード」。地元産無農薬の柚と少しのお砂糖だけで作られているのに全く酸味のないシンプルな味にしあがっています。どんな人に食べてもらいたい?の問いに「田舎の事をよく知らない人にもジャムを食べてもらうことによって、自然のすばらしさを知ってもらいたい」と。

人との御縁を大事にしながら、丁寧にジャム作りをしている北爪さんはやわらかな雰囲気の中にも凛とした強さを秘めた女性でした。現在は美咲町に拠点を移し、今後は自らがデザインして、麻コットンを使ったこだわりのランチョンマットなど、キッチン小物も制作販売していくそうで、これからがとても楽しみです。

—-文章3
タイトル/夢と勇気をくれたジャム

本文/
さわやかな初夏の風がいつまでも口の中で吹いているような…。初めてミモハモさんの柚子マーマレードを口にしたときの感覚です。自然豊かな美咲町で収穫された柚子が醸し出す酸味ときび砂糖のほどよい甘さが溶け合ったその味は素朴さにあふれていました。このジャムを作っているのは東京から岡山に移住してきて、今年の五月で二年を迎える北爪佳恵さん。美咲町のアーツ&クラフトビレッジで着実に自分の夢を広げています。

もともと、田舎暮らしに憧れていたという北爪さんが「地域のものを使って何かできないかな」と思っていたとき目についたのが食べられる木の実でした。子どもの頃からモノづくりは大好きで、母親と一緒にキイチゴのジャムを作ったりしていました。移住してきて、最初に作ったグミの実のジャムは北爪さんにとって初めての味でした。「美味しい!!」これがジャムづくりのきっかけとなったのです。現在、製造しているジャムは柑橘系をはじめ、桃やぶどう、キウイなど約十八種類、製品はイオンモール岡山のハレマチ特区などに置いています。

都会から単身、岡山に移住してのジャム作りはさぞ大変だろうと思いきや、淡々とその楽しさを語ってくれる北爪さんからは何の気負いも無く、ただ好きなことを日々丁寧に取り組んでいる様子が伝わってきます。けれど、奥に秘めた強さと情熱も感じるのです。「田舎の素晴らしさをジャムで伝えたい!」小さな瓶の中でキラキラ光るジャムから大きな夢とチャレンジする勇気をもらったのでした。

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—-文章4
タイトル/出逢いは宝の山

本文/
小瓶のラベルには、変わり葉のついたまるくきいろい柚子や、緑しっかりキウイの輪切りや、小さなとげ付きつるの先には赤い実の絵がかわいらしく描かれています。とろりとしたジャムはキラキラで、口に含むと美味しいと優しいが広がります。と同時にどこか存在感のある強さが主張してきます。

ジャムの作り手mimohamoさんは、二〇一五年春に、遠くの街からここ岡山にやって来ました。自身が今まで歩いてきた道にこだわらず、岡山の自然に身を任せる中、出逢う一つひとつがキラキラ光、すべてが輝いて見えた…とゆっくりゆっくりと話します。

グミの実・桑の実・夏みかん・桃・梅・ブルーベリー・ピオーネ・マスカット・いちじく・あけび・梨・柿・キウイ・柚子・はっさく・甘夏・文旦・金柑・橙・そして冬限定の冬いちどなどなど、手作りジャムたちの種類の多さに驚きです。

歩けば出逢う自然の贈りものに励まされ、初めて手作りしたのはグミの実のジャムでした。山の全てが凝縮されたような味に、小さい頃、母と手作りした木イチゴジャムの記憶がよみがえり、mimohamoさんの原点となっているそうです。

宝の山を前にして、このすばらしさを土地の方や遠くの知らない方にも伝えたかった…と、黒髪に色白で幼くも見えるmimohamoさんの瞳がキリリと一点をしっかり見つめて語ります。あの初めのジャムに感じた“存在感のある強さ”がそこに重なりました。mimohamoさんの一途な思いが、祈りのような思いがこの手仕事に込められています。

その土地に根ざした宝を守ってきた人たちと、外から来たからこそその宝に気づき心動かされたmimohamoさんとの出逢いで生まれたキラキラのジャムたちです。宝の山から頂いた手仕事の先に、mimohamoのはにかんだ静かな笑みがこぼれます。

—-文章5
タイトル/ジャムは大地のおくりもの

本文/
「山が宝に見えたんです」
その事を都会に住む人、田舎を離れた人に伝えたい。北爪さんのジャム作りへの思いが伝わってくる素敵なお話でした。

東京から美咲町に移住された理由は、田舎で暮らすことに憧れていてインターネットで知り決めたんです。といたってシンプル。自分の人生を自分で決め、前へ進む勇気と「山の宝」をジャムにしてやさしい味を私たちに届けてくださる柔らかさが北爪さんの魅力であり、「mimohamo」ジャムの美味しさのヒミツかもしれません。

今の季節にした作れない「冬イチゴ」についてのお話が心に残っています。「山に自生している赤いイチゴを見つけた時は嬉しくて、車を停めては摘んでいます」笑いながら話される姿に、イチゴを摘んでおられる北爪さんが目に浮かぶようでした。

家族と、そのエピソードを話しながら食べる「冬イチゴ」は、とても美味しく、幸せな時間でした。ジャムを食べてもらう時に、キッチンまわりで使える小物や、ジャムと一緒に楽しんでもらえる雑貨作りをしていきたいと話される、北爪さんの今後の活躍を心から楽しみにしています。見えているのに見えてないこと、たくさんの「宝」に気付けるように、今日もジャムをいただきます。
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<講師 ハタノさん評>
皆さん、一生けんめいにお題に応えていただき、ありがとうございました。皆さんそれぞれの味が出ていて、伝えたい気持ちがビンビン伝わってきました。全体に言えることとして、文章表現に主観的な表現が目につきました。一番伝えたいことが伝わる文章の書き方について、個別にまとめましたので、ご参考になさってください。

(注:ハタノさんはそれぞれの参加者の方に、詳細な解説をしてくださいました。ここでは割愛いたします。)

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今回みなさんに書いていただいた中で、文章5は、一番伝えたいことが分かる文章です。皆さんもきっと読んでみて、他の文章との違いが分かるはずです。文章の細かい指摘はさておき、北爪さんの魅力がストーンと入ってきます。一番伝えたいことが明確だからです。伝わる文章とは、こういうことを指します。
柚子を食べたことをばっさりカットしているのも潔いですね(笑)。だって書きたいのは冬イチゴだもん!っていう書き手の声が聞こえましたよ。伝えたいことのために容赦はいりません。必要なことだけを書けばいいんです。

タイトルに、「ミモハモ」と入れたほうがいいです。何のことを書いているのか分からないので。本文の中にはきちんと「ミモハモ」さんの説明を加えてください。
最初に「素敵なお話でした」とありますが、これを書くと、どこで誰が何の話をしたのか分からないので、読み手のイメージがつきにくい。これを書くなら、スロウな本屋さんの文章講座で、ミモハモさんを迎えて取材をした、と書かなければいけません。でも、文字数も限られるので、ここを書いたらもったいない。なので、表現を変えましょう。「北爪さん」と突然出てくるので、その説明も加えましょう。

「山里にある木の実(こう書いた方が伝わります)が宝に見えたんです」。岡山県美咲町でジャムづくりに取り組む北爪佳恵さんは、~と話します。
というように書けば、無駄な情報を出さずにすみます。木の実の旬をジャムで閉じ込めて、たくさんの種類を作っていることや、冬イチゴをジャムにする作業の大変さを入れてあげるとベターです。

簡単な言葉を使い、とっても素直な表現だからこそ、伝わります。正直に言うと、文章表現は他の方がリードしていますが、まだまだなところもこの方の味だなと許せちゃう、そんな文章でした。ごちそうさまです。

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